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キリエのうたの556のネタバレレビュー・内容・結末

キリエのうた(2023年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

スワロウテイルに花とアリスを足して現代日本の要素をトッピングした、という印象。

岩井俊二らしさを感じるというよりも、既視感を感じてしまった。好きなんだけど。
もしかしてセルフオマージュもあるのかな?
蒼井優のバレエシーン:アイナのバレエシーンとか。

CHARAの歌声だからこそ成立した世界観やストーリーがあったように、この映画もアイナの歌声だから納得できた。
ファンでもないし腑に落ちないストーリー展開もあったのになぜか泣いてしまったのは、やっぱり音楽が刺さったんだと思う。

キャスティングの点では松村北斗が異質だったけど、観終わってみると一番普通というかリアルな人物をいい具合にやっていたと思う。

夏彦というキャラクターがファンタジー寄りなストーリー(これもまた岩井俊二っぽい気がする)にちょうどいいアクセントだったと思う。
周りに流されっぷりとか無力さとか、善人にも卑怯者にもなりきらないところとか。

面倒な事が津波で流されてホッとしてしまった自分もいる事を、認めているようでもあり見ないふりしているようでもあり…からの、キリエに希を重ねて号泣するシーンでやっとちゃんと消化したようなかんじ?良かった。

となると姉・希がけっこうなキーマンなんだけど、なかなかクセが強いキャラクターに感じてしまったが故に、他のいろいろな設定等がスッと入ってこなかったところがある。それが残念。

ただこのキャラクターも、こんなかんじのヒロイン何作かいたな…って思って、ただもう本当に「らしい」な、こーゆーの好きなんだろうな、と思ったり。


とにかく音楽を楽しむ映画としてはすごく好き。
最後にはキリエが逞しくなってて良かったな。

あと広瀬すずの青いロングヘアがキャラクター過ぎて?なかなか慣れなかったけど、ラスト刺されてからもキリエに会いに歩いていくシーンの、白いワンピース・青い髪・青い花束と大きな歩幅が、なんかすごく綺麗だった。
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