宮城県川内市生まれの岩井俊二監督が、3.11の震災に踏み込んで描いた13年の物語。
上映の入り口には震災場面がある、との注意書き。
アーティスト、アイナ•ジ•エンドの歌声と共に綴られる物語は、震災孤児、キリエの流転の13年。
アイナ•ジ•エンドは演技初。
時系列は次々の入れ替わる。
2010年石巻
2011年大阪
2018年帯広
2023年東京
折々に出会う人と共に、儚く舞う花びらのようにキリエの危なっかしい日々が描かれる。
キリエ(姉)と夏彦(松村北斗)との出会い
「彼氏とか、いるの?」
「先輩がなってください」
この台詞のやり取り好きだなぁ
でも物語のその後は全然甘くない。
震災のシーンはこれまでの映画の中でも激しい。
結婚していない男女は、身内と認められず、いかに非力なものかと切なくなる。
キリエを保護した教師(黒木華)もしかり。
法的には無関係の非情さ。キリエは優しい人とは一緒にいられない。
帯広でイチコ(広瀬すず)と出会う。
美人だけど、女を使って商売(スナック)を継ぐことに閉塞感を感じて東京へ。
キリエが頼るのはイチコ。
路上ライブで様々な人が関わるが、村上虹郎が元気な姿で音楽活動してるのはもっと見たかった。
歌声に彩られながら、厳しい現実が織り込まれる。
キリエはこれからどこへ向かうのだろう。
美しい映像と愛らしい女の子(というにはちょっと大人かな)
雪の中を歩くキリエとイチコの美しいシーン。
過去の作品のオマージュになるような場面もちょこちょこありながら、懐かしくもあり、新しくもあり、見応えがある。
いつまでも見ていたい珠玉の一品。
岩井俊二監督の作品は海外の監督も見ているようで、作品の中に「岩井俊二っぽいシーンがあるなぁ」と感じる部分がある。
これからも作品を残して欲しい。