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PERFECT DAYSのikoのネタバレレビュー・内容・結末

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

わたしはとても好ましく観た。ジム・ジャームッシュの「パターソン」に似てるなあと思いつつ、これはきっとヴェンダースの幸福論なんだろうなと。ルーティンと、ときおりそれをはみ出す出来事。それによる発見とか愛しいなにか。パターソンは詩を書き、平山は木漏れ日を撮る。

毎朝箒の音で目を覚まし、植木鉢たちに霧吹きし、仕事を丁寧にしつつ木漏れ日や光を発見してほほえむ。銭湯の1番湯も気持ち良さそうだし、焼酎の水割りも美味しそうだ。

車の中で聴く音楽はルーリード。古本屋の百円の棚から選んでくる本は幸田文「木」だったりして、文化度は高い。

映画のなかで姪と、その母(妹)の登場により、主人公平山がわざわざ選んでトイレ掃除を生業にしていることがわかる。たぶん色々あったうえでの選択だったんだろう。その点でこの映画の好き嫌いは分かれそうだと思った。「降りてきている」ように見えてしまうからだ。降りることは悪いことではないしどのような選択も自由だ。けど、選択できたんだね、と思えて鼻につく人もいるだろう。

総じて詩のような映画。東京の景色は美しい。わたしの好きな田中泯さんが踊るホームレスの役だった。役というかなんというか。
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