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PERFECT DAYSの06のレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.3
人によって感想が分かれそうな映画である。
あの繰り返される平穏な日常が愛おしく、主人公の生活が愛おしい。自分もそうやって生きたい。と観るひとも多いかも知れない。
でも、僕にとっては怖い映画だった。

それば僕が平山のような生活を送っているからかもしれない。人とかかわらず、代わりに植物を育て、世情に疎く、本を愛し、愛しい景色を写真に残す。代わり映えのない毎日の繰り返し。
小さな積み重ねによって作られた完璧だからこそ、無遠慮な他者がすこし入り込んだだけで、大きく揺さぶられてしまう。その居心地の悪さは、気持ち悪くなるほどだ。

「何も変わらないなんて、そんなバカな話ないですよ」
と平山は言うが、最後変わることを是とするわけでもない、変わらないことを愛おしいと思い続けるわけでもない。いつどのタイミングでこの映画は終わりになるんだろう?と後半ずっと思っていた。いつが終わりかわからない、たどり着きたい先も見えない。でもそれが人生なんだと、突きつけられた気がした。
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