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哀れなるものたちの06のレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.0
無知で無垢な幼女が知識を獲得し世界を知り、女性的なエンパワーメントを獲得する物語。

ベラは結局帰る家があり結婚相手がおり普遍的な愛情に恵まれているし、自由で居ることを妨害されるが、絶望することはない。映画として面白かったが、期待していた新鮮さには出会えなかった。男性が女性の処女性を重視することも、貞淑を求める事も、無知でいて欲しがることも、すべて今更ではないか。ファンタジー世界を描きながらも、議論は男女の性の問題のその先へとは飛躍しなかった。

美術、服飾、広角のカメラワークは見事。エマ・ストーンの身体を張った演技とその美しさを堪能する映画だった。
個人的にはマーク・ラファロが老女を海に突き落とそうとするシーンがお気に入り。あそこで大笑いするベラが作中で一番意外性があった。
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