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コンクリート・ユートピアの06のレビュー・感想・評価

コンクリート・ユートピア(2021年製作の映画)
4.5
大地震が起きすべて崩れ去った街で、一棟だけ無事なマンション。でも食料も資材も限られてるので、住民以外を排除するようになるのは普通の人間として当然の心理……なのだろうか?という、小市民の弱さと醜さをえぐり出した見事な人間ドラマ。

「非常時には非人道的になっても仕方が無い」VS「非常時でも人道的であるべき」という普遍的なテーマで始終争ってくれる。普段平和に生きていれば直面しない考え方の差が浮き彫りになる。誰に感情移入したか、カップルで真面目に話し合ったら喧嘩になるかもしれない映画。
設定自体が見事なリトマス紙として機能している。

コメディ的に描かれる前半と、血みどろの後半の差がすごい。どうやってオチをつけるのか心配していたが、上手いこと腑に落ちる結論を出してくれた。

細かいところだと、パク・ソジュンが何故か冒頭から怪我していて、その理由を考えるだけで冒頭15分楽しめた。そういう小物の使い方が上手い。イ・ビョンホンのカラオケシーンに回想をぶっこむ演出や、意見が割れるシーンを夕焼けの色温度の差でわける見せ方も秀逸。
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