このレビューはネタバレを含みます
久々に観終わった後味が非常に悪い映画であった。
結果的に夫ヴェンセントがユートピアを求めて引越してきたのにも関わらず、その土地で嫁サンドラに自殺？するまでの気持ちに追いやられた事が不憫でならない。
法廷では無罪となった主人公サンドラ。
ただ作中では最後まで死因の真相は明確にされない。
子供ダニエルに対しての本物の愛があり、お互いの言い分があるのは分かるが、話し合いを持たず、性の不一致が理由で家族の為に移住した家にまで他人を連れ込んで、わざわざ夫が望んでいなかった他人との快楽を謳歌していたサンドラの身勝手な行為に、サンドラが言うヴェンセントに対して一体どの様な事が愛と言えるのか、自分に分かるような解釈を御教授願いたい。
そしてダニエルに対して、後から考察されるスヌープになぞらえた自身の自殺をほのめかしたメッセージを父本人の口から聞かせられたダニエルの心情を鑑みると、多感な時期の彼にとってはただただ拷問としか思えず、これからの人生でこの事実を背負わせたサンドラに憤りしか感じ得ない。
先日鑑賞した哀れなるものたちの様な明確な善悪の矜持が無い題材を取り上げた映画であるだけに見る視点は様々である事は理解するが、映画自体は没入感がある演出でさも傍聴人に近しい体験ができた事は素晴らしいのだが、自分は高評価を入れようとは思えなかった。
