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哀れなるものたちのsoukun86のレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.2
人間の本質と観る人間の資質を問う、完全に観る人を選ぶ作品。

先ずエマ・ストーンの役者魂に感服。
観客を奇怪な世界観にグイグイ引き込む音楽。
主人公ベラの心の成長にリンクするかの如く鮮やかさを増してゆく映像美。
ベネチア金獅子賞獲得やオスカー11部門ノミネート(2/1現在)、数あるアワード獲得も納得の映画。

幼さが故純粋無垢で、良心の呵責を持ち合わす間も無く何故か凄い早さで成長してゆくベラに突きつけられる社会の不条理や人間のエゴと対峙する姿に強烈なメッセージ性を持たせた監督の意図が、自分には情報量が多過ぎて咀嚼し切れていない程盛り沢山。

そんな中でも研究者の子としてまともな愛を受けられずに育ったゴッドが、一度はベラに愛情を持った自分を研究者として有るまじきと叱咤していた程だったのが、ゴッドからの愛情をそのまま純粋に受けて育ったベラに愛され、マックスと共に純粋な愛を手向けられた2人に添い寝されて天に召されてゆくシーンには心を打たれました。

ラストは鳥肌もの。
なかなかに強烈な映画でした。
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