マクマーフィ

落下の解剖学のマクマーフィのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.3
凡庸な引用だが、ニーチェの「真実というものは存在しない。存在するのは解釈だけである」がテーマだろう。

己が勝手に解釈した真実を求め、法廷で雄弁に語る検察官はまるで狂言回しのようだし、被告人である妻も論理的な反論をするがゆえに逆に疑念が深まっていく。

本作は、夫の死をめぐる饒舌な法廷サスペンスを借りて、人の心の奥底を覗き込む心理劇だ。これは、ヌーベルバーグのクロード・シャブロルの手法である。

で、本作が高い評価なのは、法廷に証人として立つ視覚障害の息子をドラマの核に据えたことだろう。