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枯れ葉のHALのレビュー・感想・評価

枯れ葉(2023年製作の映画)
3.8
現在批評家に絶賛の「枯れ葉」を見てみた。ストーリーは至極単純。よくこんな単純な話を80分にまとめたなという感じ。ひと言で言うと今時珍しい大人の純愛物語。なんか昭和の日活青春ものにもこんな話があったんじゃないかと思うほど。
しかも、これまた今どき珍しい電話番号を連絡先としてメモに書いてもらって教えてもらうという、こっちが恥ずかしくなるような恋愛行動パターン。さらに再会デートの前に事故に会う。それってあまりにも出来過ぎちゃう?

ヒロインが泥を被るようなかなりハードな肉体労働やってるのもこの映画の特徴だ。それともフィンランドでは当たり前なのか。

そして、時々ウクライナの戦争のニュースがテレビじゃなくラジオで流れる。これ、本当に現代の話し?ただ、このシーンは監督がこの映画で訴えたかったことの一つらしい。

さらに役者はみんな無表情に喋る。本当に演技してんの?と思うくらい。と、思っていたら、監督は出演者に「演技するな!」と言ったらしい。でも、これって無表情すぎない?それとも今時の演出過剰な映画に慣れすぎた私のせい?

さらに「PERFECT DAYS」と同じく役者はリハ無しの一発勝負だったらしい。なんか最近の海外の映画監督はワンテイク演出が好きだな〜。巨匠黒澤明の、主役には20テイク!と大違いだ。

なんだかんだ言ってもダメ男とヒロインが最後には愛を叶えるところはこの映画の救いであり、最も見るべきところか。

そして、この映画のラストシーンがチャップリンの名作「モダンタイムス」のラストシーンとまったく同じ。つまり、二人は希望に向かって歩いていくという意味を表している。そして、ヒロインが連れていた犬の名前がチャップリン!これは偶然ではなく、監督の意図したものではないだろうか。
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