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枯れ葉のmodernboyのレビュー・感想・評価

枯れ葉(2023年製作の映画)
4.2
好きな映画です!
冒頭直ぐの、バスに揺られる女性(アンサ)のカットから、「わぁ〜、アキ・カウリスマキだ!」と分かるくらい、特徴的な画作りだなと、改めて再認識。

カット内で人を端に置いたりするような人物配置や、画面内の人物の衣装と壁紙の色など、一つ一つの空間の描き方と捉え方が特に分かりやすくアキカウリスマキ。
久しぶりに見て、ジャック・タチ感を感じたけど、そっちも最近観てないので見直してみようかと思ったりしました。

ストーリー的にはラブストーリーだけども、もっとのんびりしているというか、恋!愛!というよりも、ただ静かに過ぎてく日々の中で互いを意識してる様を、ボーッと観れて、安心感を得られる。

アンサの生活と、ホラッパの生活。
どっちも決して恵まれた生活というわけではなく、労働者階級な身の丈通りな生活。そんな中で、互いにデートに向けて背伸びする様子や、友人との交流など。
そういう素の描写パートは、映画やドラマだからこそ観察できる、良い意味の「人らしさ」で。
そういう場面を映画に取り込む時にこそ作家性は顕われやすいのかなと。
例えば、ロシア・ウクライナ間戦争の報道がラジオから聞こえる(テレビでは無い)、現代を描いてるはずなのに、登場する全要素で全力でノスタルジックしてます笑(あんなヨレヨレの煙草吸わないだろう!)

音楽をとても意識して使っていて、そういう意味ではわかりやすい映画作りもしていて、尺の短さ(80分ほど)も相まって、とっつきやすさはあるかなと。

深夜に薄暗い部屋で、のんびり観たい系映画として、ジム・ジャームッシュと似た系統だなと思ったら、「盟友」と書いてるレビューもあったので、2人は知り合いなのかと。知らなかった事実に驚きつつ、似てんなぁと笑

HP記載の(スマホ用の縦型がとても良かったので置いておきます> https://kareha-movie.com)「いくつもの回り道を経て、物語はカウリスマキ流の最高のハッピーエンドにたどりつく」という文言が正にその通りで、回り道自体がもう、カウリスマキ流過ぎて、癖になる良さでもあります!

注釈をつけるなら、刺激的な要素も全て“カウリスマキ流”になるので、なんだこんな“つまらない(エキサイトしない)”映画は!と合わない人も勿論いそう。かつ、キャスティングも“カウリスマキ流”(当たり前)なので、なんだこのキラキラしてない人たちは!というリアクションもありそう。要は分かりやすく合う合わないが顕著に出る映画って気がします
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