A8

枯れ葉のA8のレビュー・感想・評価

枯れ葉(2023年製作の映画)
3.9
きっと誰にも真似できないあの世界観。

登場人物の“ちょっと”した笑顔、驚きや、悲しみそして、ウインクなど、、
無駄がないからこそ自然と際立つのだろう。

無駄がないといえばあまりにも質素な生活。
設定は現代なのに
情報網はラジオ。
ん、、これは半世紀以上前の話なのか?
と錯覚するほど。
だが、そこから飛び込む現在のウクライナ事情のニュースに
現実的に引き戻される。
そして、そんな悲惨な戦争をいまこの時間も
続いているのだと。
主人公の際立つ叫びはすごく伝わった。

固定されたようなカメラ位置は、
まるで画角に入った絵を映し出しているようである。

ストーリーがどうとか演技がどうとか
そういう前に、これは類い稀なる芸術作品だ
無機質な世界観だからこそ作り出せる人間の心を繊細に映し出している
心からそう感じた。


ストーリーはとてもシンプル
幸薄い男女二人が偶然出会い👫
名前も知らなければ、言葉もそれほど交わさないうちにお互い惹かれあう。
女は男に電話番号を渡すが、男はなくしてしまう。
女は男から連絡が来ないという悲しみを
男は女に会いたいが連絡できないという悲しみを。
この“離れている”時間にお互いは気持ちを芽生えさせていったのだろうか。

小さい街であるため、ある日二人は再開する
夕食に誘った女は家に男を招く。
食後男は(アル中の為)ポケットに忍ばせておいた酒を身体に流し込む。
女はそれをみていた、、
「父と兄を酒で亡くした、、身体を大事にして」
男は「強要するな」と言い残し家を出る
ありがとうも伝えずに。

これで終わりかと思いきや
“離れている”時に愛は芽生える
二人はお互いをやはり忘れられない。
男は酒をやめる決心をして
ついに女に電話をかける☎️
そして女もすぐに来て!と返答。

男は女の元へ急ぐ、しかし。

枯れ葉とはどういう意味なのだろうか。
枯れ葉みたいに散ってしまったような
二人が織りなす美しさのことだろうか、、
とても深い気がする。

離れてから芽生える愛もあるのだろう。
時折り挟まれる自然の映像が見惚れる。
A8

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