朝にその名を100編唱え、昼にも100編唱え、おやつの時間にも、夜にも100編唱え、夢の中でも唱えても唱えても、その名を脳裏に留めるのが困難な名を持つタジキスタンの名匠、故バフティヤル・フドイナザーロフ🎬
該博な知識を持ち、映画道をひたすら究めんとするフォロワーさんたちのおかげで、その存在を知り、一挙に虜になった映像作家の長編デビュー作を観る👀
父と離れて暮らす兄弟が、汽車に乗って父親に会いに行く。弟はまだ幼く、兄は若さゆえの粗暴なところはあるが、弟思いの優しい性根の青年。
物語はこれといった起伏があるわけではなく、タジキスタンの日常、文化、風土を映しながら淡々と進んでいく。若書き故というか、荒削りなところは否めぬが、後の作品に通底する、生命力というか、人の営みの逞しさを描いている点では、この映像作家の資質は存分に発揮されていると思う。
全編モノクロームだが、他作品同様、乾いた質感が伝わってくる。フドイナザーロフのファンでなければ、特にお薦めはしないが、夭逝した名匠の足跡を知るにあたっては貴重な一作。