開明獣

少年、機関車に乗る 2Kレストア版の開明獣のレビュー・感想・評価

4.0
朝にその名を100編唱え、昼にも100編唱え、おやつの時間にも、夜にも100編唱え、夢の中でも唱えても唱えても、その名を脳裏に留めるのが困難な名を持つタジキスタンの名匠、故バフティヤル・フドイナザーロフ🎬

該博な知識を持ち、映画道をひたすら究めんとするフォロワーさんたちのおかげで、その存在を知り、一挙に虜になった映像作家の長編デビュー作を観る👀

父と離れて暮らす兄弟が、汽車に乗って父親に会いに行く。弟はまだ幼く、兄は若さゆえの粗暴なところはあるが、弟思いの優しい性根の青年。

物語はこれといった起伏があるわけではなく、タジキスタンの日常、文化、風土を映しながら淡々と進んでいく。若書き故というか、荒削りなところは否めぬが、後の作品に通底する、生命力というか、人の営みの逞しさを描いている点では、この映像作家の資質は存分に発揮されていると思う。

全編モノクロームだが、他作品同様、乾いた質感が伝わってくる。フドイナザーロフのファンでなければ、特にお薦めはしないが、夭逝した名匠の足跡を知るにあたっては貴重な一作。
開明獣

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