タカシサトウ

瞳をとじてのタカシサトウのレビュー・感想・評価

瞳をとじて(2023年製作の映画)
4.6
 映画監督のミゲル(マノロ・ソロ)が、22年間映画を撮れないでいたが、失踪していた主演男優(ホセ・コロナド)を探し出して、再び映画への思いを取り戻そうとするような話。

 主演男優の娘役として、アナ・トレントが、「ミツバチのささやき」(1973年製作1985年日本公開)以来、再びアナという名で登場する。

 ビクトル・エリセ監督の新作ならば、どうしても観なければ、と思って仕事の合間に無理して観に行った。

 3時間近くあって、長く感じるだろうと、と思った。でも、途中で少し、疲れたな、と思った所は、幾つかあったものの、長いとは思わなかった。

 ただ、アナ・トレントが、再びアナ役で、あの時と同じセリフを言うのは、本当に背筋がゾクゾクするような感じで、公開当時に観たことを思い出した。確か、シネ・ヴィヴァン六本木だったかと、今はもうないけれど。

 そして、当然ながら、彼女も歳を取ったなと思った。それは、私自身も歳を取った、ということを痛感した。ミゲルも何だか隠遁生活を送っているような始まりだったし、観ながら、自分の歳を感じざるを得なかった。

 ビクトル・エリセ監督は、31年ぶりの長編新作なので、この映画に掛ける気持ちは並々ならぬものがあっただろうし、主人公のミゲルは、エリセ自身と言ってもいいのだろう。でも、エリセの渾身の作だった、少し経ったら、また、観直したい(2024.2.19)。