マ・ドンソクが強すぎるため引き伸ばし展開でしか2時間もたせられないという課題を、比較的ちゃんとした捜査と三つ巴の構図により解決していて楽しめた。とはいえ基本は場所を変えてはボコすだけ。主人公のキャラクターへの依存度は更に増したが、ここまで振り切ると型として楽しめる。
今回、ヤバい奴らが暴れ回る緊迫感は完全に消失し、よくあるマクガフィンバトルになったわけだが、悪役の存在感と主人公の無敵っぷりを両立させられなかった前作より、「悪党が真面目な顔で悪事を働いてると平熱なマ・ドンソクがボコしにくる」という方向性に振り切った今回の方が全然良いと思った。
また今回は悪党たちが小競り合いしているところにヤバい刑事がボコしにくる不条理劇のような構図とも捉えられるので、悪い奴らが色々と画策するほど期待が高まる作りになっている。主人公がここまで強いのに、観ていて「どうせボコして解決でしょ」と鼻白らむことがないのだ。これは地味にシリーズにとっての発明ではないか。
殴ったときの打撃音と吹っ飛び加減が強化されていたし、最後のバトルなんて言ってしまえば職場で暴れ回ってるわけだから、今回はストレス解消映画の側面がかなり強いと感じた。そのぶん、マ・ドンソクに頼り切った映画になってはいて、今後新たな面白みがあるかは疑問だが、期待したものがそのまま出てくるという意味では、定期的に観たいシリーズになるかもしれない。
