cana

哀れなるものたちのcanaのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.5
すごかった……(語彙力)

冒頭15分くらいが不協和音とややグロ多めでずっとこんな感じだったらダメかもしれない…とビビってたのですが、その後あっというまに引き込まれて気づいたらエンドロール。
時間を忘れて没入してしまいました…。
どこか浮世離れしたファンタジックな世界観も美しかったです。

『身体は大人・頭脳は子ども』というコナンくんと真逆状態なベラが、閉ざされてきた家から冒険に繰り出して…というある種のロードムービー。
純粋無垢なベラが初めて外に出て、いろんな出会いや発見をしつつ、徐々にまっすぐ強くてしなやかな考え方や意思を身につけていくさまがとっても魅力的だった。

R-18と聞いてはたけど、エマ・ストーンがここまで熱烈ジャンプしてるとは思わず、恐れ入りました…。(もはやアートの域でまったくエロさは感じなかったが)
そんなベラにメンヘラになっていくマーク・ラファロ演じるチャラダメ男のダンカンくんはなかなか笑えたし、倫理観ぶっとんだマッドドクターなのに憎めないバクスターを演じたウィレムデフォーも素晴らしかった。

船で出会う2人はめちゃくちゃ素敵だったなぁ。
とくにあの何言われても動じない笑顔のマダムはかっこよかった。

こういう終わり方か、わりと感動的…と思ってたところでのあの展開はわりとホラーでした笑
一見まともな職のやつが一番やばいというね…

金と女と権力を所有したがる男性たちに執着される一方で、ベラの感情に芽生えていくセクシャリティやアイデンティティ、フェミニズムの描き方が秀逸だった。
お互いの利害一致がない限り、軽やかに正論スルーしていくのが清々しい。
倫理的にはあれかもだけど、個人的にはシニカルで最高なラストだった…!

今年まだ2本目だけど、間違いなく今年のベスト候補になる1本。
これからパンフを熟読します!
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