Ginny

哀れなるものたちのGinnyのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
3.0
強烈。
主題が同じでも、出力のパターンは多種多様なんだなと。
SNSの発達で、自分と主義主張価値観生き方が違う人が人数も種類もたくさん存在しているとわかったので、こういう形もあるんだよな、と拒否せず思える。

振り返ると隙のないストーリー展開であれもこれも見ている時は何をどうしたらいいのかと思ったけど無駄がなくラストに繋がっていたんだな、お見事、とは思うのだけれど気を抜くと眠りの世界にいってしまいそうに数えきれないほどなっていたのとr-18要素の描き方が自分の好みではないので中々判断が難しい。

パワフルでした。
例えるならその強さは筋力ではなく、魔法というか。凄いものを浴びた。

他人の尺度や価値観に縛られて自分の価値を低く見積らなくて良くて自分が思うように行動して、それを認めてくれる人といられたら幸せだなと思った。
大別すれば(本当に大別)『君たちはどう生きるか』『バービー』を見て感じた生きることへのエンパワメントを今作からも感じた。でも冒頭書いたように、出力が違う感じ。
この映画は私には刺さらなかったけど(強烈で印象には残るけど自分の心の奥深くに響かない)、誰かには刺さる。そしてその誰かの救いになるといいなと思う。

ただ、つい最近読んだホスピスに勤める看護師の漫画で、認知症になると制欲を抑える脳の部分が弱ることで性に奔放になる人もいるというのを読んだばかりなのと、知的障害者の施設では好奇心から性的接触が盛んになってしまうとか見たので、脳が大丈夫なのか心配になったり、女性が手軽に急ぎでお金を稼ごうとすると身体を売る手段になってしまうのがモヤってしまった。

自分本人の意思と行動だけで全てを切り開き選択し成長…することは現実世界ではできないと思う。苦しい世界を全員が自分の動きだけで乗り切れるわけじゃなくて、おかしな世の中に対しておかしいことはおかしいってみんなで変えようと外に動く力はこの映画からは感じられなかった。バービーを前日に見たので、バービーの方が外に働きかけるものがあって個人的には好き。

そしてr-18の理由であろうセックスシーンについて。90-00年代の映画を思い出しました。一昔前はこんなようなのがちょこちょこあった気がするような。今の時代にここまで、しかもエマストーンが、というのはびっくり。
大人のキャストはともかく、あの子供たちが心配です。きちんと気をつけているだろうけど…。

衣装デザインが本当に素敵。
『女王陛下のお気に入り』の衣装も素敵だったので同じ人なのかと思ったら違う人でした。
エマストーンのスタイリングのかわいさが私と近いと友達が言ってくれてうれぴー。

点数的に映画のクオリティで言えば4.0以上なのですが、どうしても自分の心のバロメーターが動かせずこの点数になってます。
Ginny

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