矢吹

哀れなるものたちの矢吹のレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.1
フランケンシュタイン。
悪い子バビー。
良識ある社会から、熱烈ジャンピング。
人生で大切なのは、飽くなき冒険心でございますよ。
「精神的に向上心のない奴は馬鹿だ」
この言葉はいつだって正しいのだ。
こころ、関係ないです。
一から十まで、かどうかはわかんないけど、
確かに、五十から六千ぐらいまでは、
こんなもん常人には描けないよなってね。
すごくワクワクしっぱなしの作品でございました。
清々しいほど裸のまんま。
0歳のボクが大人になるまで。
エマストーン様が、とにかく一糸纏わぬ状態でして、白状しますけど、全裸1発目は、多少、下世話な感情込みで見てしまいました。
でも、本当に、そのあとは自然と、それどころの騒ぎじゃなくなる。
エロいというか、動物だから仕方ない。
と思わざるを得ない。みたいな。
服を脱ぐという行為より、着るという行為の方が、わざわざやってるように感じるみたいな。
めちゃくちゃ大事なことだと思いますよね。
それを2000%体現する、エマストーン様の、揺らぐことのない美。
性にふけるシーンはもちろん、サイコーなんすけど、あれをちゃんとやるからこそ、そこからちゃんと文化と文明に人生を乗り換えるための道を拓いていく姿がたまらないっすね。
ダンスのシーンは、心と体の真ん中が動いて踊っていました。
過去も未来もぶち抜く、全人類という意識の総体としての、人間の中に残された本能への希求。
歌に聞き惚れる瞬間も、文学を嗜むようになるのも、スラムの存在についての善と悪、貧富。世界というシステムへの参加。
その意識を持つか否か。
あんなに裸だったのに、いつのまにか、かの有名な人類の進化の図の、先頭にいる背筋ピンの、さらに前をいく、凛と座って本を読むという、気品。

マークラファロ、世界一の床上手いやつ。
真心は与えられないが、冒険は与えられる。とかほざく、生意気な野郎なんですけど、
こいつはこいつで、また、どんどん、人間になっていく。
世にもダサいとされている、愛人に、執着する男になっちゃうほど。
慌てふためき、嫉妬に狂い。
結局、お相手の女の子が、ちゃんと学習して芯を手に入れたら、手に負えなくなるんだもん。
若い子を狙う薄っぺらい詐欺おじさんに対する最高のカウンター。こんなに痛快なこともない。
にしても、序盤のラファロはダンディーが溢れかえってて、とてつもなくハンサムだったけどね。

ただ残念なことに、本や社会を学んだって、もちろん、どんどん良識と理想だけを、掬い、拾えるわけでもないから。
凝り固まったモラルは、エマストーンには通用しない。
一つ昔の話をすれば、ジョークを一つ話してくれる。この商売めっちゃいい。通うと思う。

父から愛をもらわなかった。
子供をモンスターと呼んでいた。
自分が母の肉体に降りる。
愛人にするためかと。俺も思っちゃってた。
すみません。解剖は、愛を込めて。

現在のモノクロから、過去と色が戻ってくる。
狭い屋敷の外に出て色をどんどん獲得していく。
青を纏うと冒険と安らぎ。赤を纏うと停滞と煩悶。画面全体の色使いの巧妙さ。
過度に夢の惑星でもなく、地球のどこかに潜んでいそうな、蠱惑的な世界観も5000万点。

シナトラじゃなくて、シアトル?なんやっけ、
まぐわいのこと、なんていってたっけ?
セスク・ファブレガス?シチリア?
矢吹

矢吹