矢吹

エノケンの孫悟空 後編の矢吹のレビュー・感想・評価

エノケンの孫悟空 後編(1940年製作の映画)
3.8
これまた、夢のお告げから開催される后編。
運命を導く、夢の中のシーンで、とにかく綺麗な人たちが踊り狂う。まだ、悟空たちが歌って踊るのはわかるけど、序盤から、ひたすら妖艶な美女たちがわんさかダンスして、孫悟空が映らない、御一行が関係なさすぎる時間がしばらくあって、流石に何見てんだっけこれ、と思ったけど、終わって見れば、全体的に、もはや悟空のせいで何見てたんだっけこれの連続。
前編より、ギャグの弾道がどんどん上がっていくフルスイング。
特に、金閣銀閣の館は、今まで、最先端も含めて、歴代の最遊記の中でも、この作品がずば抜けて1番面白いんじゃなかろうか。
結構、間違いのない自信がある。他全然見たことないけど。これはそうでしょう。
ちゃんとこの時代に見ても別に違和感なく入り込める特撮のクオリティも、お墨付き。
ついに展開される、まさかのドッグファイトまで、楽しいの一点張り。
そんな怒涛の展開とスピード感ではあるのだけど、
逆に序盤の夢のシーンだけは、ディゾルブなどを用いた異様な夢見心地。
目を開けながらも、うとうとしているのと変わらないレベルの景色。あのシーンは夢だったのか映画だったのか、繋ぎ目に確信を持てないほどに、素敵でしたしね。
ほんで、このシーンがちゃんとあるからこそ、後編のエンジンも担保されていると思う。

さあご覧あれ。
矢吹

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