このレビューはネタバレを含みます
原作は未読です。読む機会を作ろう、うん。
なんとなくフェミ映画と言われているところもありますが、純粋にベラ・バクスターの人生譚だったと思います。
どっちかというと『バービー』の過酷版だと思ってます。笑
まず特筆したいところは、やはり美術と服飾かな…どの時代かなんとなく明確ではあれど、そこを上手くぼかすような美しくしかしどこか燻んだ世界観がたまらん。たまらんです。
冒頭のモノクロの世界ですが、あのウェディングケーキのような段フリルがついた腰の飾りなど様々な序章の衣装たち、白黒でどれだけ綺麗に映えるか何度もiPhoneで白黒撮影しテストしたそうです。時代ですねぇ笑
ベラの感情が素直に乗る衣装ばかりで目が潤います。日本でも展示やってくれないかな…。
建物や細かな道具、部屋の空間演出も素敵でした。その不思議な世界観は、ベラにだけ見えている世界なのか、はたまた現実か。
日本版の予告編で観ていた内容とは全く印象の違う映画で、少しずつ人間になる過程で出会う様々な風景や人、モノ、音楽、嘆き、、全てに目を見開くベラが愛おしく、哀れ。
クルーズの章が一等好きかもしれません。ベラが自然の摂理や下界のことを学び、本を読むことで人間というものは一体なんなのか実態を掴んでいくところ。
遊びに興じ美味いものを鱈腹飲んで食べ、仮初の〝裕福さ”を愉しんでいた彼女が雷に打たれたように泣き喚いていた姿が印象的です。
そしてそこから読書を止めどなく始めた際に着ていた衣装が一番好きです。
澄んだ青に映える海、靡く長く艶のある黒髪は誰のものでもなく彼女のもの。
パリに行ってからの展開には少々驚きの連続でしたが、どんどん視界がハッキリしてくるような感覚のもと、彼女は人間になるためのある種の〝修行”を得て故郷へ戻り、大切な契りを交わします。
生と死の狭間で見る生きるべき道の選択と、重ねた手の温度…
ベラという新しい生命の息吹が最後まで瑞々しく、神話のようなラストでした。(いや、笑うところだけどw)