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ザ・クリエイター/創造者のレのレビュー・感想・評価

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)
3.7
意思を持ったAIが反乱を起こす話は基本的に全部しょうもない……。というか想像力として世俗的すぎて、現代でテクノロジーと社会に真剣に向き合う作家が描く話と到底思えないのだが、この作品はそういう建てつけで結局ヒューマンエラーの話をしていてそこがとてもいい。

※ここからネタバレ

人間側の軍隊は、強烈なヒエラルキーの元で軍服やら装備やらで格好をつけて様にはなっているものの、とにかくずっと仕事ができない。兵器の管理ができない。兵器管理のヒューマンエラーでLAを更地にして(LAを犠牲にするSF仕草の伝統ってなんなんでしょうね)、その後対抗勢力の兵器を手中に収めておきながらポカやって自滅する。

決死の作戦で敵を討つ映画によくあることとして、「あそこでこうやってたら反乱の芽を摘めたのに馬鹿だなあ」みたいな観客の目線があるが、その意識が巧みに利用され、そのまま人間のあり方への批判的な態度に接続しうる。そのあたりの処理が非常に巧みだと思う。

以下メモ

・西側諸国がまるごと陰謀論に染まっているみたいな話だが、果たしてそれが陰謀論なのかどうかは、作中でいちおう決定不可能にできている

・綺麗にSW8とローグワンを足して割った感じでニヤニヤした。装備で劣るテロリスト軍のゲリラ的な戦線、主人公が両陣営の間で揺れる展開、デススター破壊の任務、自分の役割をまっとうし、破滅の前に数十秒だけ抱き合う男女、等々。ちなみにSW8は評判悪いけど私はかなり好きです

・これ白人主人公だったらむかついて見れなかった気がする。そういうエスニシティの配分においても見るべきところがある作品

・死体の脳をスキャンして数十秒だけネクロマンスするシーンいいよね

・フォントって本当に大事なんだなと感じさせられる映画。あの章扉(?)はないだろ、、
レ