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WANDA/ワンダのレのネタバレレビュー・内容・結末

WANDA/ワンダ(1970年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

おしまいの町で暮らしているおしまいの女に転機が訪れ、一瞬光を見る話

「劣悪な環境に身を置く愚鈍な人」は、あえて愚鈍なままでい続け、なにも感じようとしないことで自分の心を守っているのかもしれない。だって賢くて鋭い人はそんな場所で生きている自分に一秒だって耐えられないから。

コミュニケーションが存在しない世界なので、犯罪の片棒を担いがされた人間が、「よくやった」と褒められる、その時以外に人と人の心が通じる瞬間がまったくない。ここまで乾ききっていて、ユーモアも排した世界を描く作風は意外に珍しいと感じた(大抵はユーモアを残しがちだ)。

炭鉱のシーンで始まり、ザラザラしたアメリカ郊外を背景にブロンドの中年女があらわれるので、『こわれゆく女』のことを考えていたが、最後まで観ると全然似ていなかった。こちらは主演女優に神経症的な気配がまったくないため対照的ですらある。


……この映画を観た翌日、俺は遺体となって発見された。
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