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ダム・マネー ウォール街を狙え!のchunkymonkeyのレビュー・感想・評価

3.5
2021年の米ゲームストップ株騒動を描いた作品。株価が上下するだけなのに、ハラハラドキドキ面白かった。映画で観ているだけ(しかも実際の事件なので結末は知っている)でも、こんなに高揚感が出るなら、実際にその渦中にいた人々は劇中で語られるようにドラッグのような恐ろしい感覚なんだろうなぁと。映画としては極めてオーソドックスな印象。

経済アナリストとして働きながら、オタクキャラでYoutube上に個人投資の記録を公開するキース・ギル(ポール・ダノ)。コロナ禍の真っただ中、ゲーム小売店ゲームストップ社の株が過小評価されているから買うべきだと呼びかけたところ、それに反応したネット民が次々とオンライン株取引で同社の株を購入し、株価は瞬く間に100倍以上に...

実店舗を中心に展開しオワコン化しているゲームストップについてキースが「まだ20%の人々は実店舗でゲームを買っているからこの会社には将来性がある」、というのをYoutubeで流して、RedditやTiktokで広がり、それを観て人々がスマホのアプリで株を買うというめちゃくちゃ皮肉な光景🤣

実際のキース・ギルはその後雲隠れ状態なので、純粋なゲームストップ愛なのか、金儲けなのか、ウォール街に対する蜂起なのか、亡くなった家族が関係しているのか、本映画でも結局、彼の動機というか、全体的に彼が頭の中で考えていることがはっきりしないのがちょっとモヤモヤしたかな。

その代わり、株のことを何も知らない市井のネット民の皆様がとてもよかった。みんな家族や友達、恋人に「早く売った方がいい」とせっつかれるのに、何かに取り付かれたように株を保持し続ける人々。コロナ禍の病院で働く看護師、オンラインやマスク姿で授業を受ける学生、そして渦中のゲームストップ店員。さて、誰がうまく切り抜け、誰がドツボにハマるのか。思わず画面越しに「さあ今すぐSellを押すんだ。今でしょ!(古い...)」と謎の応援をしてしまいました😅

本作中でも出てくるようにウォール街版のフランス革命と言われることもありますが、現代の世界の経済格差はフランス革命時よりもさらに広がっているという悲しい現実。そんな中、確かにこの事件は一部のウォール街の金持ちをギャフンと言わせたものの、全体平均としてみたときにはやはり個人投資家が大きく損をしてヘッジファンドは儲けたところも多かったそうで...

そこそこエンタメ性がありながら、そこそこ考えさせられる、そこそこな映画でした😊
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