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ポップスが最高に輝いた夜のchunkymonkeyのレビュー・感想・評価

ポップスが最高に輝いた夜(2024年製作の映画)
3.5
有名なWe Are the Worldのレコーディングを描いたドキュメンタリー by NETFLIX。特に目新しいところはなく、映像やインタビューは何度も見聞きしたことがある印象ではありますが、やっぱりこれぞ伝説って感じ😎

1985年とのことで、それから約40年が経過しているわけだけど、やっぱりもう二度とこんなことは起こらないんだろうなとしみじみと感じ入る次第でありました。

スターが一同に集結したこの曲。今でも素晴らしいミュージシャンはたくさんいるというか、もしかしたらレベルはさらに上がっているかもしれないけれど、やはりスター性という意味ではこれに敵うものはない。というのも、現在はインターネット検索やSpotifyなどのアルゴリズムの影響で誰もが簡単に自分にぴったりのニッチなミュージシャンが見つかってしまうため、世界中の誰もが同じ人に夢中になるという現象は現在では絶対起こりえない。もちろんそれは、多くのミュージシャンに一定のファンがつくというよい面もありますが。

これだけのスターがずらっと揃ったのはアフリカでの飢饉に対するチャリティーだから。この社会問題という側面においてもやっぱりこれは現在では再現されない。当時の問題って、アフリカで飢饉が起こっているから食料を提供しようとか、AIDSが蔓延しているから予防・治療法を確立して人々に届けようとか、問題は深刻だけどやるべきことの道筋は議論の余地なく明快。一方でその40年後の我々の生きる現代の社会問題ってやっぱり、誰かを支援することは、また別の誰かを苦しめるというように、一筋縄ではいかず極めて複雑化しているので、どうしてもこういうチャリティー系も議論の的になってしまう。

まあでもこれだけ個性豊かなスターが集まると大変🤣これに関しても、個性的とはいえ日常的にスマホ・SNSで監視されすぐに何かあれば炎上しキャンセルされていまう現在のミュージシャンの皆様だと、もう少しお行儀よくすんなりいきそうな気がしました。カオスな状態に文字通り奔走するライオネル・リッチーも印象的だけど、無邪気を演じて緊迫した場を和めたシンディ・ローパーは人格者だなと思いました。よくも悪くも、こういう極限状態でこそその人の本質って出るから、本作も観ていて面白かった。

プリンスとシーラ・Eの件は有名ですよね。本作でもそこに触れるし、インタビューも多くの人が受けるけど、40年経ってるにも関わらず誰も非を認めなければ、一言たりとも彼女に申し訳なかったいう旨を言わないというのはちょっと芸能界の闇をみた気がしましたね...

ともあれやっぱりこの曲。シンプルだからこそ、歌手の皆様の個性が光って本当にいいですよね。現在との違いも含めた懐かしさと同時に音楽の持つ普遍的なパワーを感じたドキュメンタリーでした!
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