うっちー

ダム・マネー ウォール街を狙え!のうっちーのレビュー・感想・評価

3.5
公開館少ないし、シネコンでも小さな部屋に割り振られていたので日曜昼とはいえ、この手の作品にしてはビックリのほぼ満席。余裕のない席でじっくり観ました。

『マネー・ショート』の類似作品だと思うけど、かの作品よりはかなりわかりやすい。「空売り」という株売買のしくみはよくわかった。

また、資産も少ない個人投資家が落ち目のゲーム販売チェーンに肩入れしてヘッジファンドなどのウォール街のリッチたちに一泡吹かせてやろうというテーマは充分魅力的なのだけど、その主人公のキース(ポール・ダノ)本人やその周りの人たちのドラマがあまり描きこまれておらず、いまひとつ乗り切れなかった。というか、キースはなぜゲームストップに肩入れしたくなったのか? 好きな店だったのか、食いものにされそうなことが我慢ならなかったのか、あるいは……? かなりご機嫌なヒップホップやロックチューンを多用しすぎな騒がしさもあり、少し残念な感じも残った。

ただ、コロナ禍の閉塞感を映し出している点は新鮮。キースにつられた庶民の個人投資家たちの様子は面白く、日々の辛さや不安感、それゆえに何かに賭けたい、という切実な感情は理解できた。また、キースの家庭事情は興味深く、あの辺もっと掘り下げてくれたら、と。大好きな『アイ、トーニャ』の監督作。次回も期待したい。
うっちー

うっちー