うっちー

カラーパープルのうっちーのレビュー・感想・評価

カラーパープル(2023年製作の映画)
4.2
実はあまり期待していなかったんだけど、びっくりするくらい好みの作品だった。ミュージカルって決して得意じゃないが、めちゃくちゃ普段着のまま、生きている上での苦悩や欲求のリアルな表現だったので。出てくる男女もキラキラ過ぎず、美男美女はあまりいなかったが、そこもとても親しみやすかった。

アフリカンアメリカンの、しかも南部の話だが、白人からの差別の問題がメインではなく、差別のなかの差別というか、連鎖というか、差別されてきたアフリカンアメリカンの男性がアフリカンアメリカンの女性を苛烈に虐待してきた構造を明らかにするストーリー。その最底辺で培われる絆と連帯、本物のシスターフッド(実はちょっとこそばゆい言葉だが、本作については衒いなく言える、と思った)に、胸は高鳴り続けた。

スピルバーグの作った映画はリアルタイムで観たが、まだ問題のなんたるかを把握してもいなかった年だった。改めてこのかたちで再現してくれたことに感謝したい。主人公セリーの抱えてきた悲しみ、悔しさは、きっと国境や年代を超えて多くの女性、いやそれだけじゃない押さえつけられてきた人々の心に触れるだろうと思う。私もそうだった。

ミスターの改心にちょっとモヤモヤは残るが、改心しないよりはまだかなりまし。しかもかなり良くなっていたから。また、生き別れになったネティの少女時代を演じたハリー、かわいかった! また、H.E.Rってあんなにかわいいのか、と驚いた。そしてもちろん、ファンテイジアさんとタラジさんも魅力的だった。文句のない、辛いけれど楽しさにも溢れたシスター映画だと思う。良作!
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