「人生には、もれなく迷惑がついてくる。」
生き別れたはずの父親を名乗る男。嘘だかほんとだか分からないことを言って、家に住み着く。
彼はとても迷惑な存在だ。
昼間から飲んだくれているし、子供に余計なことを教えるし、着替えは覗くし。
でも、この男だけではない。
登場人物全員が、迷惑を掛け合っている。
互いのエゴの中で、迷惑をかけ迷惑をかけられ、迷惑がり迷惑がられている。
迷惑をかけないようにした行為があだとなることだってある。
でも不思議と愛らしい。
そう。人は迷惑で愛らしい存在なのだ。
今日は東京にしては珍しく雪が降っている。路面が滑るし濡れるし、ろくなことがない。
でも「雪が降るのは今日で最後です。」と言われたら、途端にありがたく感じるだろう。
迷惑だったり、ありがたかったり。
面倒だったり、心地よかったり。
不便だったり、便利だったり。
清濁合わせ持っているのが日常だ。
当たり前の日常はある日突然失われる。
永久には続かない。
当たり前のように感じられるひとつひとつの清濁を、ちゃんと味わえる生き方をしたいものだ。