しゃび

あ、春のしゃびのレビュー・感想・評価

あ、春(1998年製作の映画)
4.0
「人生には、もれなく迷惑がついてくる。」

生き別れたはずの父親を名乗る男。嘘だかほんとだか分からないことを言って、家に住み着く。

彼はとても迷惑な存在だ。

昼間から飲んだくれているし、子供に余計なことを教えるし、着替えは覗くし。

でも、この男だけではない。
登場人物全員が、迷惑を掛け合っている。
互いのエゴの中で、迷惑をかけ迷惑をかけられ、迷惑がり迷惑がられている。

迷惑をかけないようにした行為があだとなることだってある。

でも不思議と愛らしい。
そう。人は迷惑で愛らしい存在なのだ。

今日は東京にしては珍しく雪が降っている。路面が滑るし濡れるし、ろくなことがない。

でも「雪が降るのは今日で最後です。」と言われたら、途端にありがたく感じるだろう。

迷惑だったり、ありがたかったり。
面倒だったり、心地よかったり。
不便だったり、便利だったり。

清濁合わせ持っているのが日常だ。

当たり前の日常はある日突然失われる。
永久には続かない。

当たり前のように感じられるひとつひとつの清濁を、ちゃんと味わえる生き方をしたいものだ。
しゃび

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