凛

ナポレオンの凛のレビュー・感想・評価

ナポレオン(2023年製作の映画)
4.0
リドリー•スコットの描くナポレオンはフランスの話だけど英語🇫🇷
そこは気にしないで。

フランス革命を機に国王が追われて、コルシカ島出身の軍人ナポレオン(ホアキン•フェニックス)は才能を発揮する。
印象的なシーンとしてマリーアントワネットの公開処刑。
それを大観衆が楽しそうに見守るという残酷な幕開き。

ナポレオンが軍の総司令官に任命され、ジョゼフィーヌとの結婚と離婚。
戦闘の連続からセントヘレナ島に幽閉されるまでが描かれる。

フランス史で主だった戦争の名称は知っていても、こうして戦場の場面を歩兵の目線で大規模に描くことで血生臭い覇権争いにあけくれるナポレオンの残虐性を強く感じる。
VFXで何でも描ける時代に8000人のエキストラを使って泥臭く。これは見応えがある。

他方、運命の女性ジョゼフィーヌに出会い、彼女の子供も引き取り結婚し、深い愛情と不貞による憎しみが激しく交差する。
本当に愛していたのはジョゼフィーヌだと思うが、それだけに怒りも大きい。

ナポレオンの外側と内面を交互に描きながら、当時の欧州の複雑な関係性を感じる。

ジョゼフィーヌが亡くなってからは少し物語も単調になるが、栄枯盛衰の切なさは十分に描かれている。

ナポレオンは敢えて格好良くは描いていない。才能だけで成り上がっていき、栄華を極めて、ダヴィッドの絵画でも有名な戴冠式の場面。
ロシアでの屈辱の敗退。
可視化されることで理解しやすくなった。

権力を得て登り坂にいる時よりも、負け戦からの悲哀溢れるナポレオンが秀逸。
ホアキンの演技は文句無し。

完全版があるらしいのでそれも見てみたい。
凛