けだもの

ナポレオンのけだもののレビュー・感想・評価

ナポレオン(2023年製作の映画)
3.0
かなりのダイジェスト感。
戦場での姿も、ジョゼフィーヌへの愛も見せたいとなるとああなるのは当然か。
ナポレオンの半生を160分にまとめるなんてどだい無理な話だったんだ。
ホアキン・フェニックスが演じるからには良い意味での気持ち悪さみたいな方向に振ったナポレオン像が見られるかもという期待もあまり満たされず。
もっと突き抜けた奇人のような姿が見たかったのに、出てきたのはただねっとり気持ち悪くて情けないおっさん。
かなり意識して小心者っぽく描かれていたような気さえする。
もしかしてスコット監督、ナポレオン嫌いなんじゃ……?
戦争シーンはさすがの重厚感と迫力。平地での大軍同士のぶつかり合いと隊列を組んで走る馬を撮らせたら監督の右に出る者はいないな。
惜しいのはあのスケール感とロケーションへの徹底したこだわりがありながら、全員が英語を喋っている点。
『グラディエーター』のように基本ローマ軍しか出てこないというのなら英語でもそこまで違和感はないが、フランスイギリスにロシアといくつか勢力が分かれているとなると話は別。
全編フランス語だったらまた印象は違っただろうにと思ってしまうのは仕方のないこと。

ヴァネッサ・カービーは佇まいに迫力と色気が混在していてとても良いね。
けだもの

けだもの