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ぼくを葬る(おくる)のメルのレビュー・感想・評価

ぼくを葬る(おくる)(2005年製作の映画)
3.8
若くして人気カメラマンとなった主人公が余命宣告を受けその日を迎えるまで。

メルヴィル・プポーは後に「わたしはロランス」で主役を演じる颯爽とした美しい青年で、彼が日を追うごとに病に侵され弱々しい姿になっていく主人公をやりすぎる事なく本当に素晴らしく演じています。

ひとつの見所は、主人公が唯一心を開いて自分の死期を知らせに行った祖母のジャンヌ・モロー。
我がままで似た者同士という設定の2人の会話は中々良いです。
別れ際の抱擁では、当時70代半ばのジャンヌ・モローが少女の様に可愛く見えます。

死を意識すると同時に幼い頃の自分が随所に出て来るのですが、主人公は同性愛者ということで周囲とはちょっと違う自分の生涯を愛おしむ様に描かれている。

脚本もオゾン監督なので監督の死生観を表してると言われているみたいですが、その辺は定かでは無い。
ただ自分の死を出来るだけ受け入れて、ギリギリまで選択して納得して生き切りたいというのは伝わる。

オファーを受けて彼が最後にした選択も多分自分の生き方や人生を肯定していたから。
そしてその選択は小さなカメラに収めれたスナップ写真と同様に、揉めてばかりの姉や心配している両親への無言のメッセージだと思う。

主人公の母親役は「緑の光線」などエリック・ロメールの作品に良く出ていたマリー・リヴェール、そこも私にとっては見所でした。
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