このレビューはネタバレを含みます
“人を裏切らないのは、犬と神だけ?”
リュック•ベッソン監督が描く屈折した愛の形。
残虐なシーン、アクションシーンが多いのかと思いきや、これは悲しい程切ない愛の物語だった。
親からは愛の代わりに暴力を与えられ、人間の子供としての最低の生活さえ与えられなかった男が、心から愛し信じたのは、
歌い、演じる事、家族である犬達、そして何と、神だった。
ダグラス(ケイレブ•ランドリー•ジョーンズ)のような過酷な少年時代を送ったら、
施設を出たら、犯罪に手を染めていくのが当たり前だろう。
ところが
苦労して大学まで卒業した彼は、犬の保護施設で真面目に働く。
頭脳明晰で優しい人間である事に、観客はすぐに気付く。
施設が閉鎖される時、彼は家族である犬達を守る決心をする。
犬達があまりにも利口であったために、”盗み”というビジネスを思いつく。
ダグラスにとっては、これは家族を養うためのビジネスで、犯罪という意識は無かったはずだ。
犬達はもちろん、主人の指示通りに動いているだけ。誇らし気に仕事をこなす。
ダグラスと犬達を非難する観客がいるだろうか?
皆、仕事が上手くいく度に、心の中で拍手を送っていたのではないか?
本当の罪とは何か?
人間の法治国家では、彼は犯罪者。
では、神の国では?
神の国では救われる事を知ったダグラスは、”歩けば死に至る”自分の足で檻の🦵外に出てから、神様の元に行く決心をする。
少年時代、地獄から救い出してくれたのも、生きていくために”盗み”の仕事をしてくれたのも、神様の元に行くために檻から出る手助けをしてくれたのも、全て犬達だ。
ダグラスかいなくなった後、あの犬達は
どうなるのだろう?
殺処分になるのを察して、野良犬として逞しく生きていくのだろうか?
あまりにも利口過ぎて、主人の後を追って自殺などしない事を願う。
メインキャストのワンコ達全犬とアニマルトレーナーに、オスカーを授与して欲しい。