Scarlet

ボーはおそれているのScarletのレビュー・感想・評価

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
2.7
“マザコン中年男とエゴイストサイコマザーのグロい寓話”

一体何を見せられたのかモヤモヤし、珍しくパンフレットの解説に頼った。

冒頭からボー(ホアキン•フェニックス)を襲う不可解な災難(謂れの無い苦情、鍵、スーツケースの盗難、刺されたり、交通事故の怪我)は、セラピストから処方されたクスリのせいだと思っていた。

ボーが交通事故に遭い、事故を起こした外科医夫妻の家に滞在したところから、これは現実で、何かの陰謀に巻き込まれているのがわかってきた。

常に悪夢のように繰り返される、少年時代の母親(パティ•ルボーン)からの虐待の映像と、偶然にしてはあまりに酷すぎる、彼を襲う災難。

途中から、現実と悪夢と記憶の区別がつかなくなってくる。

ラストの30分、母親の葬儀の後にボーが到着したところから、ようやく現実の映像になる。

しかし、不自然な首の無い母親の遺体や、突然現われる、彼の初恋の女性エレイン(パーカー•ポージー)、わざとらしく流れている葬儀のテープから、もしかして陰謀?
と思っているところへ、思いがけない人物の登場。

最後は、訳のわからない怪獣(解説を見て、ペニスの形の怪獣と判明)まで出てきて、全ての謎が解ける。

終わってしまえば、超エゴイストで異常な過干渉の母親と、その母に怯え、恐怖症と性的不能に怯えて生きてきた中年息子のグロい寓話だった。

A24の作品は、親子の異常な憎しみからの殺人や、死体をマネキン人形のように見せるものが多いが(Pearl がその例)、今回もそうだった。

3時間かけて観客を迷走させ、最後にペニスの怪獣。
異常な母親の餌食になる中年息子。

アリ•アスター監督に遊ばれているようで、腹が立つ作品。

賛否分かれるだろうが、パンフレットの解説を見ないとよくわからないような脚本、個人的には好きになれない。
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