Scarlet

ネクスト・ゴール・ウィンズのScarletのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

“ハートフルな実話に参加できる喜びを劇場で体感”

実は、結末もストーリーも大体わかっていて観る人が多いのでは?

私もその1人だった。

“一勝もした事がない”ではなく、”一点も入れた事がない”国の代表チームなんて、アニメの設定でしかあり得ないと思うが、これが実話だという事に、まず驚く!

“試合で一勝するためではなく、ゴールを一回決めるために、”トーマス•ロンゲン(マイケル•ファスベンダー)を雇った米国領サモアチームにも驚く!

“島をあげての目標が、サッカー代表チームに一点取らせる事”という、嘘のようなホントを実践するサモアの人々の純粋さにも驚く。

驚きだらけでスタートする南国サッカーチームの再生物語は、むしろ、負け犬だったトーマスの再生物語になっていく。

美しく強く賢いジャイヤ(カイマナ)を中心に、笑いを堪えられない程、純粋無垢な青年達の短期集中トレーニングに、観客は夢中になって応援してしまう。

実話だから、心を打たれるわけではない。

あり得ない程、純粋で明るく、”一点”のために全力を尽くすサモアチームの事を、愛おしくて好きでたまらなくなるから、本気で応援してしまうのだ。

米国領サモアチームは、観客全員をサポーターにつけて決戦の時を迎える。

これこそが、タイカ•ワイティティ監督の狙いであろう。

実話に感動するのではなく、観客全員がサポーターとして物語に参加する作品。

こんな作品は稀有である。

ぜひ、劇場で体感して欲しい。
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