このレビューはネタバレを含みます
“ハートフルな実話に参加できる喜びを劇場で体感”
実は、結末もストーリーも大体わかっていて観る人が多いのでは?
私もその1人だった。
“一勝もした事がない”ではなく、”一点も入れた事がない”国の代表チームなんて、アニメの設定でしかあり得ないと思うが、これが実話だという事に、まず驚く!
“試合で一勝するためではなく、ゴールを一回決めるために、”トーマス•ロンゲン(マイケル•ファスベンダー)を雇った米国領サモアチームにも驚く!
“島をあげての目標が、サッカー代表チームに一点取らせる事”という、嘘のようなホントを実践するサモアの人々の純粋さにも驚く。
驚きだらけでスタートする南国サッカーチームの再生物語は、むしろ、負け犬だったトーマスの再生物語になっていく。
美しく強く賢いジャイヤ(カイマナ)を中心に、笑いを堪えられない程、純粋無垢な青年達の短期集中トレーニングに、観客は夢中になって応援してしまう。
実話だから、心を打たれるわけではない。
あり得ない程、純粋で明るく、”一点”のために全力を尽くすサモアチームの事を、愛おしくて好きでたまらなくなるから、本気で応援してしまうのだ。
米国領サモアチームは、観客全員をサポーターにつけて決戦の時を迎える。
これこそが、タイカ•ワイティティ監督の狙いであろう。
実話に感動するのではなく、観客全員がサポーターとして物語に参加する作品。
こんな作品は稀有である。
ぜひ、劇場で体感して欲しい。