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DOGMAN ドッグマンのmaroのレビュー・感想・評価

DOGMAN ドッグマン(2023年製作の映画)
3.5
2024年日本公開映画で面白かった順位:22/27
  ストーリー:★★★☆☆
 キャラクター:★★★★☆
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★★☆
映画館で観たい:★★★☆☆

犬をメインにした映画ってこれまでもけっこう作られてきたけど、感動的なヒューマンドラマやコメディのイメージが強いのに対し、これはダークなバイオレンスアクション。
「規格外のダークヒーロー爆誕」っていうキャッチコピーに惹かれたけど、うん、これはだいぶ違うかな(笑)

この映画、予告の段階では犬を使って悪いやつらを懲らしめる話かと思ったんだけど、中身を観てみるとそれはただの一要素でしかないことがわかる。
じゃあどんな話なのかと言うと、犬と信頼関係を築いた主人公が自由を勝ち取っていく物語といったところか。
物語の終盤で、主人公ダグラス(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)は警察に捕まり、拘留場の中で精神科医のエヴリン(ジョージョー・T・ギッブス)に身の上話をしながら、回想という形で幼少期から現在までの軌跡を描いていく。

ダグラスの人生はかなり波瀾万丈だ。
父親が闘犬を育てている関係で、幼い頃から家にはたくさんの犬がいて。
あるとき、父親の逆鱗に触れて、長い間犬小屋に閉じめられ、犬たちと生活を共にせざるを得なくなって。
まあ、それがきっかけで彼は犬との絆を深めていくのだけれど。

やがて、ダグラスは養護施設に通うようになり、そこで演劇を教えていたサルマ(グレース・パルマー)に恋をして。
彼女がいなくなった後も想い続けて。
何年か経って再会したときには、彼女にはすでに夫がいて子供も妊娠していて、長年募らせていた恋心が見事に打ち砕かれて。
そんなダグラスを慰めたのもまた犬たちで。
もはや、彼にとって信じられる者は犬以外にいないっていう状況がどんどん出来上がっていって。

大人になってからはドッグシェルターで働いていたダグラスだけど、州の方針で閉鎖が決まった後は、数多くの犬たちの面倒を見るために週一でキャバレーで女装して歌うことになって。
でも、キャバレーの仕事だけでは賄いきれず、ダグラスは「富の再分配だ」という名目で、犬たちを使って金持ちたちから金品を奪うようになって。

最終的には、犬を使った何でも屋さんみたいになり、ギャングとドンパチやることも。
ここだけの要素を切り取れば、確かに「ダークヒーロー爆誕」と言えなくもないけど(笑)

ダグラスって、少年時代に犬小屋から脱出できたのも、青年時代に失恋を慰めてくれたのも、最後に拘留場から脱獄できたのも全部犬のおかげなんだよね。
まさに、犬こそが彼に自由を与えてくれたようなもので、ある意味神のようなミラクルを起こしてくれる存在と言えたのかもしれない。

ただ、脱出劇にしろ、先に書いた金持ちたちからの窃盗にしろ、ギャングとのドンパチにしろ、確かに犬って賢い動物ではあるけど、「そんなうまくやれるか?」ってぐらい事がうまく運びすぎてて、ちょっと都合のよさを感じてしまう部分はあったかな(笑)

そんなわけで、内容としては楽しめたけど、最初の期待が「ダークヒーロー」だったので、そこだけ違和感はあった。
もっと悪を懲らしめる形にしてくれた方が、個人的には好きだったかな。
あと、この映画は音楽もオススメポイント。
『ゴッドファーザー 愛のテーマ』のボーカル入り版や、エディット・ピアフの『水に流して』はこの作品にピッタリハマっててよかった。
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