柏エシディシ

ウェイン・ショーター 無重力の世界の柏エシディシのレビュー・感想・評価

4.0
2023年"未知の領域に旅立った"ジャズレジェンド、ウェイン・ショーターのドキュメンタリー。
製作にブラッド・ピットのPLAN B。合計180分ほどのボリュームでショーターの生い立ちからキャリア全体まで網羅した充実の内容。
ショーターの神秘主義的な側面を時に胡散臭く思いつつも、その幽玄でミステリアスな音楽にどうしても惹きつけられてしまう。
自分は特にブルーノートのソロ作品群が大好きで繰り返し聴いてる。
レコード盤も見つけるとついつい買ってしまう。
不思議な魔力と色褪せない新鮮な感覚をショーターの音楽はいつも感じさせてくれる。
ショーターお馴染みの"声マネ"で語られるマイルス・デイビス、アート・ブレイキー。
真に革新的な"バンド"だったウェザー・リポート。
改めて偉大なキャリア。
しかしその中でも、彼自身の素養は少年時代から変わらず、まるでこの世界の驚異を丸ごと楽しむ様な若々しい姿勢で一貫している。
晩年、鷹揚とした身のこなしと丸くなった背中は歳相応なれど、その爛々とした双眸は印象的だ。
ボウイが"亡くなった"時も、あまりにも実感がなく、それこそ火星か何処か遠くの銀河に旅立っただけだと思ったけれど、ショーターも、この世界にもう居ないとはとても思えない。
陳腐な言葉だけれど、音楽と共に永遠に生き続けている様に本気で思っている。
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