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オカルトのyumeayuのレビュー・感想・評価

オカルト(2008年製作の映画)
3.5
"100円返しとくわ"

ある観光地の吊り橋で起きた通り魔事件を偶然捉えたビデオ映像から始まる今作。
そんな序盤は不気味なオカルト・ホラー要素たっぷりなのだが、それ以降は日雇い労働者の『ザ・ノンフィクション』。

(フェイク)ドキュメンタリーということで、今作の実質的な主人公はカメラを手にして撮る白石監督"白石くん"である。
彼が密着するのが通り魔事件の生き残りである"江野くん"。彼を演じている宇野祥平は、今でこそ映画やドラマに欠かせない名脇役だが、今作公開当時はまだ無名。当時の白石監督はよくこんな見事な役者を見つけてきたと感心する。

マックで朝から日雇いバイトを探して電話をかけまくる江野くんの姿がリアルすぎ。
中でも100円ショップで購入したカップ焼きそばをネットカフェで食べるシーンの二人のやり取りが秀逸。
あまりに質素な食事に白石くんが江野くんの体を心配するも、「野菜も入ってんですよ、ほらっ」と、かやくの野菜の存在をアピールする江野くん。底辺すぎる…。
これ演技だとしたら、やばすぎでしょ(汗)

段々と二人の距離は縮まり、二人は取材する側、される側という関係から"江野くん""白石くん"と呼び合う仲に発展。

なに急接近してんの!ラブストーリーかっ!

やがて白石くんは江野くんに感化され、江野くんの行きすぎた使命感に加担し始める。
白石くんの事務所でせっせと爆弾作りに勤しむ二人。途中、同僚が急にやってきて必死に爆弾を隠す二人。なんとか難を逃れ、安堵し顔合わせて危なかったとケラケラ笑いだす。

文化祭の準備かよ。青春かっ!

そして、一部界隈で有名な"地獄だぞおじさん"とのバトルを経て、遂に計画は実行される!

エピローグで描かれる100円玉の行方。
未来の世界をここまでの超低予算で描いた作品があっただろうか⁉︎

なんだこの映画…。
このセンスに脱帽。
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