前方後円墳

アウトライブの前方後円墳のレビュー・感想・評価

アウトライブ(2000年製作の映画)
3.0
愛憎交々の抒情詩。

韓国の女流漫画家キム・ヘリン原作漫画を映画化。
高麗族の血を引く剣士、ジナ(シン・ヒョンジュン)とモンゴル族の女、ソルリ(キム・ヒソン)の悲恋物語だが、アクションと韓国恋愛ドラマと混ぜた愛憎が織り成す濃厚な仕上がりになっている。
唐突な展開がいくつかあるものの、基本的な物語の方向と登場人物の目的はわかりやすくなっているので、呆気にとられるようなことはない。ソリルを中心とした人間関係に恋愛、兄弟愛、親子愛のような様々な愛が描かれ、登場人物はその中でそれぞれの光と影を宿しているところがただアクションだけの武侠映画とは違うところだ。
少々独りよがりな登場人物に鬱陶しさを感じながらも、自己犠牲があったりとなかなか胃袋がチクチクするような展開から織り成される数々の悲劇と諦念が切なさを醸しだし続け、後半に入ると完全にハッピーエンドは迎えられないような暗い空気が映像一杯に広がっている。ある意味納得するしかないラストシーンは悲運の主人公、ジナに同情するしかないのだ。