“脚本とミスキャストが原作を殺した”
何故、今、30年以上前の(1992年作)東野圭吾作品を映画化したのか?
キャストを見て納得。
最初に、”若手売り出し中の俳優ありき”だったのだ。
売り出し中の俳優を、7人もメインキャストとして使える作品は少ない。外れの無い超人気作家のこの作品は、その条件にピッタリだったのだ。(あくまで個人の推測)
原作では”久我和幸の独白”というタイトルで物語が進行する。久我和幸は主役であり、進行役であり、劇中では探偵であり、頭脳明晰な、実力のあるイケメン俳優という設定だ。
West の重岡大毅、ミスキャスト過ぎて言葉も無い。他の6人の俳優陣、旬の勢いあるメンバーなのに、本作では良さが全く引き出されていない。
つまり、脚本が駄作なのだ。
“原作と映画は別物”
東野圭吾作品が映画化される度に、東野ファンとしては心に言い聞かせて観るのだが、今回も期待通り?サスペンス映画にさえなっていない、薄っぺらな作品になっている。
①原作では乗鞍高原の山奥のペンションになっている舞台を、房総半島の海辺の別荘にした意図が全く不明。乗鞍高原という場所が、後の展開に繋がるようになっているのに。
②原作でも三重構造になっている複雑なストーリーを雑にまとめたため、原作を知らない観客には展開自体が良くわからないのではないか?
③良い役者達を使っているのに、脚本がまずく(特にセリフが下品で汚い)ミスキャストのため、全員安っぽいキャラクターになっている。
これらの失敗のため、面白かった原作が殺されてしまった。
どんな作品にも、何か1つは褒めるべき所があるものだ。
今回は見つからないので、俳優達を
見てみた。
♦️若手出演俳優陣について
本作では良さが出ていないが、皆、今勢いのある俳優ばかり。
間宮祥太朗と岡山天音は、2023年のベストアニメ映画(個人の評価)Blue Giant に次ぐ共演。
岡山天音は名脇役だったが、今上映中の”笑いのカイブツ”では主役に。
彼の推し出演作は、2020年、”ホテルローヤル”での、教え子(伊藤沙莉)と成り行きで無理心中してしまう、不運な高校教師役。2022年、”百花”での菅田将暉の職場の同僚、友人役。
戸塚純貴は、
映画は未鑑賞だが、実在の喫茶店を訪ねる人気ドラマ、”純喫茶に恋をして”でお馴染み。
塚田真由は、
2023年、”バカ塗りの娘”で主役。
弘前の伝統工芸を継ぐ素朴で可憐な娘を見事に演じた。
今上映中の”翔んで埼玉”では滋賀県出身のため、滋賀を救う救世主の少女として、三の線で好演。役柄によって豹変する実力派。
西野七瀬は、
2019年、”あなたの番です 劇場版”で、お馴染み、黒沢沙和役。
中条あやみは、
2019年、”水上のフライト”主役。
事故で再起不能になったトップアスリートが、パラカヌーで再生する姿を好演。
これから観る方達は、”東野圭吾原作”を忘れて観て欲しい。そして鑑賞後に、原作を読んで欲しい。(薄い文庫本なので、1日か2日で読める。)
私は10年前に読み、今回また読み返したが、原作は面白い、を実感できる。