あっくん

ぼくは君たちを憎まないことにしたのあっくんのレビュー・感想・評価

4.7
去年まで上映していて、タイトルで気になっていた作品が配信🎶
……でも覚悟して拝見しました💦(-_-;)

💻あらすじ
2015年11月13日。
ジャーナリストのアントワーヌは生後17ヶ月の息子と一緒に、仕事へ向かう妻のエレーヌを送りだす。しかし最高の母親で妻だったエレーヌは、パリで発生したテロで帰らぬ人に。
苦しみを抱えたアントワーヌは育児のかたわら、奥さんを殺したテロリストへ手紙を書き始め、Facebookに書き込んだ。

💻感想
観ていて本当に辛かった…。
とてつもなくやりきれない気持ちです。
同一タイトルを原作に、事件発生から2週間を描いた実在の話を映画化。
かなり前に鑑賞した“アマンダと僕”と通じる部分を感じます。

もし大切な身近な人が残酷な行為によって亡くしてしまったら、どうすれば良いのか?
憔悴した主人公アントワーヌは、まるで世界が壊されたかの様な絶望と喪失感が半端ないのが、観ていて凄く伝わってきました。
こんなの怒りと憎しみが生まれないわけないじゃないですか!

…でもアントワーヌは犯人を許さなくても、憎まないという道を選んだ。
それは凄く厳しい道だという事を実感しながらも、様々な感情を抑えながら必死に心の中で戦い続けたのか…。
それでも時が進むのだから、日常を日々生きなくちゃいけない…。
辛すぎる…。
だけど、これはある意味違った形の復讐なのかもしれない…。
誰も傷つけていない…憎しみも籠もっていない復讐を…。

一番辛かったのが息子さんの存在。
約1歳半という可愛い幼子が母親の死を受け止める事が出来ずに「ママ、ママ」って何度も探す姿がもう辛すぎる…。
アントワーヌにとっては、息子メルヴィルは希望の光のような存在。
突然のシングルファザーになった困惑と息子の為にと思っても、どこか気持ちがついていけない限界な部分を見せる所はリアルを感じるが、それでも息子には憎しみという感情を伝えてはいけないという姿に心を打たれます。

※観終わった後に調べたら、3歳の女の子が1歳半の男の子を演じたという衝撃を味わいました💦(天才的な演技力は必見。)

テロだけでなく、戦争や殺人等の事件を含め、憎んだり暴力の復讐した所で、結局喪失感と悲しみは変わらない。
憎しみは復讐の連鎖をただ生むだけ…。
だからといって、そう簡単なものではない。
どこかで断ち切ろうとしても、結局は怒りや悲しみ様々な感情を抱えて生きなければならないのだから。

永遠に残る傷跡と悲しみを抱えるのは結局、関係のない人達だという事。
しかも本作だって氷山の一角の様な物で、他の被害者達はどんな思いで日々過ごしているのか?
どう悲しみを向き合っているのか?
Facebookに送ったアントワーヌの手紙を読んだ周りはどう受け止めたのか?

映画で楽しむというよりドキュメンタリーの様な感覚で色々と考えさせられました作品でしたが、こういった悲しみの無い平和な世の中が増える事を願っています。

💻パリ同時多発テロ事件
2015年11月13日(日本時間では14日)にフランスのパリ市街と郊外のサン=ドニ地区の商業施設において、ISIL(イスラム国)の戦闘員と見られる複数のジハーディストのグループによる銃撃および爆発が同時多発的に発生。

事件発生時、サン=ドニにあるスタジアムスタッド・ド・フランスでは、男子サッカーのフランス対ドイツ戦が行われており、フランスのオランド大統領とドイツのシュタインマイアー外務大臣も観戦していた。

現地時間21時頃
同スタジアムの入り口付近や近隣のファストフード店で爆弾とみられる爆発音が3回響き、実行犯とみられる人物が自爆テロにより4人死亡、1人が巻き込まれて死亡。

21時30分頃
パリ10区と11区の料理店やバーなど4か所の飲食店で発砲し、多くの死者。
その後に犯人らはイーグルス・オブ・デス・メタルのコンサートが行われていたバタクラン劇場を襲撃し、劇場で観客に向けて銃を乱射したあと、観客を人質として立てこもった。
フランス国家警察の特殊部隊が突入し、犯行グループ3人のうち1人を射殺、2人が自爆により死亡したが、観客89人が死亡、多数の負傷者が出た。
合計死者130名、負傷者300名以上。

本作でテロ事件に遭った事を語られたバタクラン劇場は1年後、スティングのコンサートを最初に再オープン。
今も尚、人気エンターテイメント会場の場として人々に愛されています。

💻キャスト
監督はキリアン・リートルーフ(陽だまりハウスでマラソンを)

アントワーヌ役のピエール・ドゥラドンシャン(エタニティ 永遠の花たちへ、Amazonオリジナルドラマ・ヴォルテール高校へようこそ、エッフェル塔〜創造者の愛〜、私はモーリーンカーニー正義を殺すのは誰?)

妻エレール役のカメリア・ジョルダーナ(歌手で女優、ラブ・アフェアズ、レッド・スネイク)

息子メルヴィル役のゾーエ・イオリオ君(フランス、ドイツ、ベルギー、スイスでのオーディションで見事役を獲得。)

アントワーヌの姉ジュリー役のクリステル・コルニル(カリンカ、Sandraのしゅうまつ、シスタースマイル ドミニクの歌)

アントワーヌの弟アレクサンドル役のトーマス・マスティン
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