岩嵜修平

Saltburnの岩嵜修平のレビュー・感想・評価

Saltburn(2023年製作の映画)
3.8
傑作!エメラルド・フェネル長編2作目でこのキレッキレな映像美は驚愕。若くして数々の傑作を体現して来たバリー・コーガンが演じるからこその多重性。ジェイコブ・エロルディ(「EUPHORIA」)のエロさ。アーチー・マデクウェ(「ミッドサマー」「グランツーリスモ」)の不穏さ。

『プロミシング・ヤング・ウーマン』での成功を経たからこそ成し得た、現代の見事なエディット。キャリー・マリガンの配役も前作からの流れを感じる。そして、ロザムンド・パイクという絶妙さ。かなり際どい描写をしているのに不快にならず、展開は読めても最後まで手を緩めず楽しませて続けてくれる。

多くの観客には身近でない貴族階級の一族への愛憎に満ちた映画。そのテーマ性は前作と共通する面があるが、主人公を"イケてない白人男性"に設定したのが絶妙。かつてに比べても強く鬱屈を抱えているであろう存在だが、その怒りを表明しづらい時代、明確な敵を設定することで復讐をエンタメ化している。
岩嵜修平

岩嵜修平