Thorta

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章のThortaのレビュー・感想・評価

3.9
 『おやすみプンプン』浅野いにおの原作漫画がアニメ映画化。平成サブカル漫画の帝王と令和サブカル歌姫、幾田りら×あのによる豪華コラボが実現!
 3年前に母艦と呼ばれる巨大な円盤が東京の空に現れた。その絶望は日常に溶け込み、当たり前となった世界で生きる2人の女子高生が織りなすゆるふわ日常系の皮を被ったディストピア版ドラえもん…

 浅野いにおの漫画は『おやすみプンプン』『ソラニン』『うみべの女の子』を読んでいるが、どれも若者が抱える不安と糞食らえな現実、そしてセックスが象徴的に描かれている印象だ。
 そんな中、本作は3.11以降に連載された漫画であり、3.11で抱えた私達の不安そのものが作品の根底にある。日本列島といういつ起爆するか分からない爆弾の上に幸せを築く私達が異常者なのか、それとも爆発するかも分からないのにその不安を他人にぶつける者こそが異常者なのか、実に深く考えさせてくれるテーマである。

 しかし、そんな重暗い話ではなく話の軸は女子高生2人の何気ない日常だ。浅野いにお作品独特のセリフ回しも幾田りら×あのの声質と演技が素晴らしく何の違和感もない。あのギャグがスベってる感じも漫画の雰囲気そのままだった。
 可愛い女子高生キャラのその空の上にはいつでも母艦があり、ずっと身構えた状態で鑑賞しないといけなくなる。これが日常パートがメインの前章でありながら飽きずに見れた理由だろう。後章で物語の真相が語られるだろうから楽しみだ。

 正直内容としてはTVシリーズでも良かったと思うが何せ声優陣が豪華過ぎるので映画の予算でしか難しいのだろう。春休みで小学生もいたがみんなポカーンとしてたので見る人を選ぶ作品だと思うが、ディストピアSFか日常系アニメが好きな人にオススメ。
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