Thorta

十二人の怒れる男のThortaのレビュー・感想・評価

十二人の怒れる男(1957年製作の映画)
4.2
とある第一級殺人罪法廷にて、18歳の少年の命は12人の陪審員に委ねられた。蒸し暑い夏の会議室、有罪か無罪か、11人が有罪を支持する中、1人無罪を主張する男がいた…

 密室となった会議室、12人の会話のみで構成された映画。会議が進み、陪審員それぞれのキャラクターが浮き彫りになっていく緻密な脚本術に惚れ惚れ。
 個人的意見だが、有罪か無罪かその立場が少数派になると、その主張が最もらしく見えてくる。これこそ、民主主義の正しさの1つだと感じることが出来た。

 密室の会話劇ながらも、モノクロの画作りは重厚で映画中見飽きることは無かった。特に最初のシーンは観客が気づかないほど綺麗な長回しだ。12人の陪審員を紹介しながら、12人もの人間が1つの議題に徐々に集中していく過程が会議室の中をカメラが動くことで表現されている。

民主主義と司法の根幹を映し出した傑作だ。
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