てる

華麗なるギャツビーのてるのレビュー・感想・評価

華麗なるギャツビー(2013年製作の映画)
3.8

レオ様とトビー・マグワイアの意欲作。大層予算を注ぎ込んだ超大作であった。SFやファンタジー作品でもないのに、これだけ予算を使ったのはすごい。美術装飾やエキストラにふんだんに予算を割いていて、非常に豪華絢爛な映像に仕上がっていた。

古い作品で、何度も映像化や舞台化もされている作品らしい。以前に制作された映画を観てからこちらを観てみようと思っていたが、先んじてこちらを観賞してしまった。
この作品はずっとウォッチリストの肥やしになっていた。尺が長いので、どうしても尻込みしてしまうし、昔の作品を観てからにしようと考えているといつまでも観賞なの至らないので、ついに一念発起したのだ。

それに、この作品の裏話を聞いたことがある。レオ様とトビーの友情の話しだ。
2人は子役時代からの付き合いだそうだ。オーディションでよく顔を合わせていたらしい。レオ様は子役時代から人気があったが、一方でトビーは中々役に恵まれず、親しいながらもレオ様に劣等感を抱いていた。しかし、トビーに転機が訪れる。スパイダーマンの主役に抜擢され、一気にスターダムにのしあがったのだ。レオ様と肩を並べる存在になったことを喜んでいたが、スパイダーマンの撮影がなくなると、仕事がどんどん減っていった。自暴自棄になった彼はアルコールや薬物、ギャンブルに溺れていった。それを見かねたレオ様がこの作品で彼を推薦した。トビーはこの作品で返り咲くことに成功した。
トビーとレオ様の2人はとても良いコンビだった。古くからの付き合いの2人には、この作品は最高のキャスティングであった。この2人以上にこの役を演じれる者はいまい。
子役時代からスターであるレオ様はこの唯一無二の友人を見守っていた。中々芽が出ないトビーは劣等感や自責の念を抱えていた。しかし、差しのべられた手を取る素直さがあった。でも、その手が違う手だったら、払いのけていたかもしれない。それは2人の友情があったからこそなのかもしれない。
この作品は、この2人の友情が勝ち取った成功なのだ。

作品の内容は辛いものだった。結局のところ、金持ちは録でもない輩ばかりだという内容だった。いや、金持ちばかりでもないか。
毎日催される絢爛豪華なパーティーに群がる人々。主催者の顔も知らず、それが何のパーティーで誰の為のものなのかも知らず、金に集り、タダ飲みを楽しむ輩たち。
それを下品だと蔑む金持ち。ただ、自分も人に誇れるような行いはしていない。そして、なんの責任も果たさず、ただただ隠れることしかないお嬢様。

貧しかったギャツビーは金持ちの世界に憧れいた。そんな中、優雅なお嬢様に恋い焦がれる。デイジーも、若くて野心味があるギャツビーに惹かれる。だけど、その2人が交わることなんてあり得ないのだ。
非合法で成り上がったギャツビーはギラギラしているし、危なっかしい。外見は立派だが、中身はチンピラのままだ。
一方、デイジーは1度も社会に出たことのない世間知らずの箱入り娘だ。自分で何かを成したこともなく、流されるままに生きている。

そんな2人の運命は決まっていた。全ての罪はギャツビーに擦り付けられ、デイジーは怯えながらお人形のように生活するはめになった。
2人は精神的に幼すぎた。ギャツビーがもっと自制心があればこんなことにはならなかった。デイジーがもっと責任感を持って行動していれば、こんなことにはならなかった。
唯一大人だったのはニックのみだった。誰もが自分のためだけに行動している中で、彼だけが他人のために行動をしていた。
悲しい物語でだった。

なんだかこの作品が2人の行く末を暗示しているようでなんだか悲しい。
この作品は確かに成功したが、トビーのその後の俳優業は先細りしている。
トビーの演技好きなんだけどなぁ。ベビーフェイスで優しげなイケメンなのに、どこか影のある彼の芝居は彼にしか出せない雰囲気がある。是非とも今後も活躍することを願っている。
てる

てる