ユーライ

傷物語-こよみヴァンプ-のユーライのレビュー・感想・評価

傷物語-こよみヴァンプ-(2024年製作の映画)
5.0
フェアじゃないけど、再見して印象が変わったので書き直し(フィルマって削除後に再投稿しないと新着扱いにならねぇんだよなぁ)。原作アニメ一切合切未読未見なのにここまで気に入った理由は、アバンギャルドな映像表現が大きい。かつて一世を風靡した新房組による一連のシャフトアニメについて認知はしていたが、観たことは殆ど無かった。まさかここまで前衛を全開にしたものだとは思っておらず、正直驚いた。単純に未知の映像を出されて度肝を抜かれたのだ。監督である尾石達也は今後追い続けることになるだろう。市川崑や実相寺をサンプリングする手付きは庵野とも共通するが、無機質なモデリングのCGを映したり、次元の異なる複数の素材を使って画面を構築するセンスは無二のものだ。日の丸や富士山といったモチーフを通じ、ラノベアニメで政治的主張を行わんとするクソ度胸も凄い。観客に伝わらなかったとしても敢行する蛮勇に惚れる。また、通常の映画文法を逸脱してヘンなことをやる作家は古今東西枚挙に暇がないが、ゴダール先生よろしく大抵は刺激に飽きてもうええわとならざるを得ぬのに、140分超の長丁場なのに飽きない。眠くならない。更に個人的な感覚を述べるならば、ジャンルをなぞりつつ、隙を見て逸脱ふざけ倒し三番勝負化したチープな殺し合いの果てに、実存とかいった深刻な主題を展開していく質感が『殺しの烙印』と似ている。清順のアニメ化。ゼロ年代、ラノベや新本格はあえて安さを選択しながら、異能や密室といった戦い方でセカイについてカジュアルに悩んでいた。正義を信じ優しさを与え分かり合おうとして、どこにも行けない私達。厨二と言われても構わねぇ、その青さにとても感動してしまったのだけれど。あと、ロリコンなので中間形態(ドラマツルギー倒した時ね)キスショットが一番好きです。肩からはだけた下着がたまらん。
ユーライ

ユーライ