「狂人のタフな生き様が良きにつけ悪しきにつけ感慨をもたらす」作劇はありふれた類だし、ましてやド頭から「この主人公はアレな人ですよ」と丁寧に前振りをしているのだから、全部意図された演出。つまりソフトな増村保造みたいなもんで西ちゃんが駄々こね始めたのを見かね、ビンタ一閃カマしても別に良かったのである。(若尾)あややならそれくらいやるので。こんなんでサイコ呼ばわりなら『赤い天使』とか観たらショック死するから。更にアイドルという職業の露悪的解釈だって別に目新しくはない。なれば、見所はやはり飛ぶ鳥を落とす第一線スタジオCloverWorksが送る美麗な画面となる。東さんが首筋に手をやる動作一つも不必要に色っぽい感じ。まー何から何までリアリティはハッキリ言って絶無なので、四人の関係性がどうたら言っても切実さを伴っていないのは明白な欠点。アイドルなりの視点でギョーカイのリアルを看破してくれないと面白くないです。個人的に注目したのは、美少女動物園にして百合天国すればええんやろ程度の作品が氾濫する中、百合的関係性に発展する兆しを見せたのも束の間、ウン年後に飛んだらお目出度になってる容赦の無さ。適度な生臭さというかね……。私のような上級者は「ママ友百合はある」と信じているので全く始末に負えませんが……。
