オレオレ

眠りの地のオレオレのレビュー・感想・評価

眠りの地(2023年製作の映画)
3.0
お約束の勧善懲悪、大岡越前を意外に良かったジェイミー・フォックスと名優トミー・リー・ジョーンズで。
それにしてもT.L.ジョーンズも老けたなあ・・・宇宙人じゃなかったのか。

葬儀屋数軒をミシシッピで営むジェリー(T.L.ジョーンズ)。葬儀保険を売る保険エージェントでもあるが、なんかその辺に不具合があり、管轄する州の役所から目をつけられ、資金難から身売りを考える。相手に上がったのが北米葬儀チェーンを営むローウェン。旧知の商業取引専門の弁護士(アラン・ラック)と一緒にローウェンとの取引にのぞみ、一部事業の販売を基本合意するが、待てど暮らせど本契約が送られてこない。要するに、グズグズしてジェリーを干上がらせ、いずれはジェリーのビジネス全部を安く買いたたこうというローウェンの企みで、それに気づいたジェリーはローウェンを契約不履行として訴えることにする。

黒人が大半を占める地区での裁判、裁判官も陪審員も黒人が予測されるため、有名な黒人弁護士を雇うことにするが、この辺がアメリカやな~、と。
契約不履行で陪審員裁判まで行くんか、というのもあるが、なんでそこで人種問題出てくる?と。そりゃまあそういう場所での裁判をわざと選び、そのために黒人の弁護士や証人を選び、またそれを回避するために裁判地変更を申し立てたりするというかけ引きもあるんだが、やっぱり違和感はある。
とはいえ実話だししょうがないんだが・・・

この有名な黒人弁護士ウィリーを演じるのがJ.フォックス。ど派手オフィスに金ぴか衣装、自家用ジェット(正義の翼号!)まで持つジェリーだが、しょせんはPI弁護士(Personal Injury)、要するにBランクの世界で仕事をしている弁護士扱いのため、「本物」弁護士として扱ってほしいという野望もある。
やりすぎると嫌味になるキャラながら、J.フォックスがその辺をうまくコントロール。弱気になって奥さんに電話したりするシーンやジェリーとの友情を温めるシーンなど、ベタだが効果的な演出だった。
もちろん、話芸(?)もよくて、登場シーンの法廷での「しゃべり」や、ジェリーの裁判でのローウェンとの対決、最終弁論も盛り上がる。
喋りがうまくてなんぼ、の法廷弁護士なので、ローウェン側の弁護士(ジュアニー・スモレット)も抜群にうまいんだが、フォックスの方に肩入れしてしまう。

立て続けにジョン・グリシャムの小説を読んでいるので、喚問する自分側の証人の準備(反対尋問にどう回答するか、など)が出来てなさすぎやろ!とか、裁判官が異議を認めなさすぎやろ!的なことが気になるが(そもそも、基本合意の船上でLetter of Intent(内示書?)交わすやろ!)、思った通りの着地点に降り立つので、難解なストーリーや裏読みを求めていない方にはおすすめです。