元空手部

Hereの元空手部のレビュー・感想・評価

Here(2023年製作の映画)
4.0
ゴースト・トロピックと同じく、街の風景は等閑的に捉えられているが、本作では新たな特徴として見切れるショットやダッチアングルが挙げられる。人物や鍋などの一部事物が登場する時、中心にとらえず見切れていたり、正対して撮影されないパターンのショットが多い。その、見切れと等閑が組み合わさった上層階が黒く潰れているビルのショットには目を見張るものがあった。この両者は類似したものではないが、組み合わさることで相互補完的に概念を補強している。
しかし、細胞のアップや植物のアップは異なる。顕微鏡に映し出された細胞膜は一つ一つが異なるフォルムと大きさをしているし、植物のアップでも同様に葉脈も芽も全てが各様に異なる。ゴーストトロピックの時もそうであったが、ミクロであったり、熟視するカメラの視点等閑な都市観を脱しているように思える。
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