元空手部

最後にして最初の人類の元空手部のレビュー・感想・評価

最後にして最初の人類(2020年製作の映画)
4.0
本作の特徴の第一点として、ショットの語彙の少なさが挙げられる。ほとんどのショットにおいてカメラは対象に対して垂直か並行にしか動かない。この点においてパンの動作が避けられている。この抑制でわかるのは、延々と連なる空間を志向するパースペクティブ、ないしそれに準ずる意識があることだ。カメラも対象である廃墟に対する新しい視座を与えることはない。例外的なショットとしてカメラが円形に回転するものがあったが、廃墟に珍奇な視点を与えていない点で同様だ。

作中では、ナレーションの声の痕跡として緑ランプが示されている。この緑ランプは存在の痕跡として示されているわけだが、ラストで音楽と共に挿入される。映画に添えられる音楽としてではなく、あれこそが未来の言語の一つなことを示していたのだろうか。
元空手部

元空手部