矢吹

違う惑星の変な恋人の矢吹のレビュー・感想・評価

違う惑星の変な恋人(2023年製作の映画)
3.9
ファンタジー寄りな2人と、リアル寄りな2人の、4人の交感がたまらないっすのよ
そういう意味でだと思うんだけど、
見れば見るほど、すげえ変な映画に感じたっす。
それぞれ違う映画のキャラクターが、
クロスオーバーとか、コラボしたに近いというか。ドラゴンボールとこち亀のやつみたいな。
例えば、莉子ちゃんの、唐突なモノローグ、1人語りも、一回きりしか出てこない。
群像劇であるのか、主演を誰としたくなるか。
4人の恋の矢印の回転、移動、乱気流。
映画全体の捉え所が、いい意味で曖昧な感じ。
そもそもが、色んなテイストを纏っていたりもするのですよ、冒頭から、
ビッグリボウスキだと思いきや、
途中でパルプフィクションだと思いきや、
途中で、いや中島歩verのバチェラーかいと思いきや。
んで結局ね、この映画が何かって言うと
中島歩でした。
こいつのジャンルは、中島歩です。
中島歩さんが、人を軽率に傷つけ、また軽率に傷つけられる映画。
ありがとうございます。
知らない人は覚えて欲しいんですけど、
中島歩さんってね、女性に叱られてる姿が似合う人間の、日本代表なんですよ。
世界でも戦えるだろうね。

全然一線超えたいけど、付き合いたくはない女。の、男版。みたい男。
お前だよ。
その隣に
自分のことを好きな元カレが離れそうになった途端に、獲られたくなかったことに本気で気づく女。
そのまた隣と隣に
あれはなんでああいう名前なのですか?
あれをなんていいますか?みたいな。
独特な会話のルールを持ってる女と男。
私の番かなって、思ったからするだけの質問。
唐突に見えちゃう人。

それぞれが、惑星。
こうして、
全員で、中島歩を倒そうと奮闘するが、
なかなか、嬉しいことに、残念ながら、
俺たちの戦いはまだまだ続くっぽい。

休日何しますかって聞かれて、
休むとか、仕事とか分けてないかなって言う。
胡散。
ノリで使う関西弁も、あんなに話してたくせに、結局食べないホテルのパンも、
軽薄。
中田英寿のユニフォームも、歴史だよ歴史っていう上から目線も。過去の栄光自慢も。
俺が良識のある大人だから今回は良かったけど、っていう良識のない発言も、
アサイケンイチと言う名前の、レコード会社の社員の、ベンジーっていうあだ名も、
話の流れで、バツが悪くなると、嘘みたいにいちいち聞き返すのよ、
ぼく?とか俺?とかって。
それも全部、可愛すぎる。
中島歩、とてつもないよね。

ちなみに、主軸の4人以外のキャラクターがもっと奇妙だったりもする。
一つずつ、知ってる物事が増えましたねっていう、アメコーヒーの店の人。
ボウリングの仲間たち。
続編とかに出てくるんかな。
ところで、ダンキングって知ってますか?
あと、
別れるって、自分と別れることでもあるの。
ってことも、知らなかったので助かりました。

あの少し不思議な男の子と女の子は、
2人の距離がどんどん上がっていて、
友情と愛情の間を行ったり来たりすると同時に、会話の間と速度も徐々に埋まっていったのは、とても寂しくもあったけど、ということは最初のあの間は、オブビートに傾倒するためにあるのではなく、一応しっかり、探り合いの間で合ったことに、なるほどをしながら。
でも、好きな音楽の架空バンド名言う、みたいな時間もなんかとってもよかったからさ、
ピーピングライフとか、ゴールデンエッグスみたいな、脱力感のある会話劇も。
この監督としての、脚本家としてのかな、
それ一本でも見てみたい気持ちもあるな。

秘密作ろっかじゃねえんだよ。
矢吹

矢吹