まりぃくりすてぃ

勝手にしやがれのまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

勝手にしやがれ(1960年製作の映画)
4.9
[子供時代に背伸びして観て以来ずっとご無沙汰してたこの久々の映画だけど、“勝手にしやがれの日”を自主制定して毎年一回コレ観るっていう育ち方をしてくればよかったかな?]

外面はグリマートゥインズ(ミック+キース)+筋肉。内面はブライアン・ジョーンズ+ビル・ワイマン。まるでそんなふうなイケ悪が、地で行くみたいな男子力で主役を全う! 月並みな言い方をすれば、“目が離せない”。

キモは、“確信に基づく荒れ球”なセリフの数々。そう、耳も離せない。世界じゅうの映画人ばかりでなく小説家たちにも多大な影響をコレ絶対与えてるはず。
特にもちろん、ベルモンド対セバーグのチュンチュクチュンチュン続く甘いような乾いたような舌戦。終始男が優勢だし、終わってやっぱり男が女を言い負かしてる。でも、“勝負に勝って試合に負けちゃった”。「最低だ」への女の返しでそれは確定。───観客的には最高ダ!

中盤での、「悲しみは妥協だ。幸せか虚無かのどっちかしかない。つまり、俺には虚無だけだ」みたいなベルモンドのセリフに特に私、ぞくぞく。
その後、「私の目と口と肩、どこが好き?」と訊いたセバーグを私が「つまんない質問だね」と嗤おうとしたら、ベルモンドがしっかりスルーしてくれた。
この男にどこまでもついていこうと私を決意させた、決定的な二場面でした。

映像的には、紫煙が特上効果を上げ続けたと思う。